都市郊外に住む大学生の明里は、趣味で心霊スポット巡りをしていた。ある日、彼女はSNSで「訪れると必ず奇妙な出来事が起こる」と噂される廃病院の情報を目にする。その廃病院は、20年前に起きた謎の集団失踪事件の現場だった。当時、院内で働いていたスタッフと患者が突然姿を消し、残されたのは不気味に散らばる個人の荷物と、壁に書かれた「私を見つけて」という赤い文字だけだったという。
明里は興味を抑えきれず、友人の圭太と共にその場所を訪れることにした。夜中に廃病院を訪れると、建物は朽ち果て、空気は異様な重さを持っていた。2人はスマホを使い、部屋の様子を撮影しながら進んでいく。何も起こらないまま数十分が経過したが、突然、明里のスマホに通知音が鳴った。見ると、自分のSNSアカウントから「助けて」という投稿がされていた。しかし、明里はそんな投稿をした覚えがない。
「バグか何かかな?」と軽く流す明里だったが、次の瞬間、投稿には見覚えのない写真が添付されていることに気づいた。その写真には、廃病院の奥にあると思われる部屋の中で、自分たちが立っている姿が写っていた。しかし、そこに写る自分たちの顔は、不自然なほどぼやけており、まるで別の存在が重なっているかのようだった。
怖くなった2人は病院から逃げ出そうとするが、出口が見つからない。パニックになりながらも廊下を走ると、奥の部屋から微かな声が聞こえた。声の主を確かめようと部屋に入ると、そこには20年前に失踪した人々のものと思われる写真や遺留品が山積みになっていた。そして、その中心には、あの赤い文字で「私を見つけて」と書かれていた。
その後、2人の姿を見た者はいない。しかし数日後、明里のSNSアカウントから再び投稿があった。「今度はあなたの番です」と書かれたその投稿には、訪れる廃病院の位置情報が添付されていたという。
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