買い物を終えて、徒歩でアパートに戻った時の出来事。
夜10時頃だったと思う。
アパートまであと30メートルくらいの所まで来た時、
アパートの出入口付近に一台の車が停まっているのが目に入った。
と同時に、その車の運転席のあたりに白くて丸いものがあることに気付いた。
やけに白い。
最初は「人が乗ってるのかな?」と思ったが、人にしては白すぎる。
「車内に何か白い物を置いてるんだろう」深く考えもせずそういう結論に達し、
白いもののことなど忘れ携帯電話をいじりながらアパートに向かって歩いた。
入口まで来た時、再びその白いものが視界に入った。
(視界に入っているだけで、直視はしていない状態)
ぼんやりと目、鼻、口が見える。
「なんだ、やっぱり人だったのか」と思いそれを直視した瞬間、背筋が凍った。
人間の顔ではなかった。
口は何の表情も感じさせない一文字。
目は白目と黒目の区別がつかないほど細長く、異常に釣り上がっている。
白すぎるその肌には、少しの凹凸も感じられなかった。
考えてみれば、真っ暗な中であの白いものだけが鮮明に見えるのもおかしかったんだよな。
さすがにその日は眠れなかった。
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