深夜2時、スマホの通知音で目が覚めた。画面には「宅配業者です。お荷物を届けに参りました」というメッセージとインターホンのカメラ映像の通知が映し出されている。
カメラを見ると、玄関先には作業着を着た男が立っていた。大きな箱を抱え、明らかに宅配業者らしい姿だったが、こんな時間に荷物が届くなんておかしいと思った。
男はしばらく立っていたが、こちらが出ないのを確認すると、スマホに再び通知が届いた。「お荷物をお届けに参りました。玄関を開けていただけますか?」
「こんな時間に誰が開けるか」と思いながら無視をしていると、今度は玄関をノックする音が聞こえてきた。連続した低いノック音が耳に響き、心臓がバクバクと高鳴る。
恐怖で動けなくなったが、ようやくスマホを握りしめて警察に電話をかけようとした。その瞬間、インターホンのカメラ映像に変化があった。
男はまだ玄関先に立っていたが、その顔がカメラをじっと見つめ、まるでこちらを見透かしているような笑みを浮かべている。そして、ゆっくりとこう言った。
「……〇〇さん、開けてください。」
自分の名前を呼ばれた瞬間、全身の血の気が引いた。自分はこの家で一度も名前を教えたことがない。
気がつくと、玄関のドアノブがカチリと回る音がした。
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